2019年11月8日金曜日

40代おっさんが髪を寄付した話。

みなさん、髪の毛を寄付できるってご存知でしょうか?
髪を寄付することを「ヘアードネーション」といって、世界的に広がっている運動になっています。

ヘアードネーションとは
髪を寄付する先はもちろん髪を必要としている人たちです。すなわち、癌や白血病の治療の副作用で髪を失った人たちや、先天性の病気、また事故などで髪が無い人に、人毛のカツラを提供する運動がヘアードネーションです。

NPO法人などでは、特に髪を失った子どもたちにウィッグを提供しているとのことです。
子どもたちが生きるために必死に病気と戦っている。そんな中で髪を失うことは仕方のないことかもしれません。でもたとえウィッグでも、失った髪を手に入れたら笑顔になれる。外にでることが楽しくなる。笑顔や、嬉しい気持ち、楽しい気持ちは病気に打ち勝つ力となることは、想像に難くありません。

僕が始めてこの運動を知ったのは2015年ごろ。
オーストラリアの少年が髪を伸ばし続け、髪を寄付したという記事で初めて知りました。少し調べると、日本にもヘアードネーションを行う団体があることを知りましたが、寄付に必要な髪の長さはなんと31cm以上。
おそらく全盛期の金八先生でも31cmには足りません。流石に社会人の男で31cm以上髪を伸ばすのは、プロのメタルバンドに在籍しない限り困難だと感じました。

疑問の声もある
最近は科学的に作るウィッグも、本物と遜色のないレベルで制作できるという話もあり、無理に人毛を寄付する必要ないのではないか、製作コストが高いだけではないのか、という意見もあります。
確かに、カニカマなんて、蟹と区別が全くつきません。サラダ油で作った人工イクラを見破れる自信もありません。技術って凄い。

でも、寄付だからこそ無償で提供できるものがあります。
人毛を望む人もいるでしょう。
ヘアードネーションに限らず、日本に根付きにくい寄付の文化を少しでも広げることにも意味があると思っています。
そういったことから、ヘアードネーションについては常に頭の片隅にありました。

15cmからできるようになった
それから数年、何かの拍子に別のヘアードネーションの団体を知りました。
そこが提供しているのが15cmからのヘアードネーション。
15cmですとかなり短いので、作られるものは帽子に髪を付けた簡易ウィッグ。お出かけ用でしょうか。
それがつな髪でした。

15cmだったら男でもできるのでは?
募集の要項を読んでみると痛みすぎていない髪であればOKとありました。
いける。
そんなわけで2018年夏に、チャレンジすることを決めました。

美容師さんに相談
ヘアードネーションをするにあたって、それぞれの団体が、対応サロンというものを紹介してくれています。
髪を伸ばして切るためには、最終段階の切る段階でできるだけ髪を採取できないといけませんし、その状態まであまりに見苦しくならないように整えながら伸ばさないといけません。また採取後の髪型も意識しないといけない。
となると、対応サロンだと、そこらへんも当然考えた上で伸ばしていけるとは思うのですが、残念ながら家の近くに、無かった。
そこでいつも通っている美容院に相談したところ、やりましょうと言ってもらえました。

夏の時点で頭頂部は10cm以上の長さがありましたが、側面は刈り上げていたので、頭頂部から髪を採ることにして、側面はその長さに合わせて整えるだけとしました。

ちょうど夏から伸ばしはじめ、長さを感じるのは冬。季節的にもちょうど良いタイミングでした。

5月、髪が決壊する
長い冬を越え、春を迎えるとだいぶ髪の量が多くなり、合う人合う人に「長くなったね」と言われるようにはなっていたのですが、なんとかワックスで整え凌いでいました。

ところが5月に入ると、いきなり堰を切ったように毛量がずどんと増えたように感じました。
襟足が限界を迎え、荒れ狂う襟足は、襟で切り返し、北斎の富嶽三十六景のようなうねりを起こしたのです。美容院で整えてはもらいましたが、頭頂部から伸ばしている髪とのバランスを考慮するとあまり切ることもできず、ここから1ヶ月は髪を縛り、やり過ごすしかありません。

そして凌いで凌いで迎えた6月。
美容師さんからも「そろそろ行きましょう」とお墨付きをいただいたので、というかむしろ僕のほうが「き゛り゛た゛い゛!!」と懇願する形でヘアードネーションのマニュアルを手に、いざ、伐採。
収穫祭を迎えました。
ロングの髪の毛を束ねて切るわけではなく、ぎりぎり長さが足りている髪から15cmを取るのは難しく、美容師さんも苦労して髪を縛っては刈り取るを繰り返してくれました。
そして、取れそうなところからはできるだけ取ってくださり、何束もの髪が収穫できました。

白髪が駄目
昨年くらいは髪が痛みすぎていなければ、どんな髪でもOKと書いてあったと思ったのですが、改めてヘアードネーションのページを確認すると、白髪交じりも駄目と、基準が厳しくなっていました。
どうしようも無い髪がたくさん送られてきたからでしょうか。
収穫した自分の髪の束をみると、白髪が多く入っていました。さすがに40も越えると白髪が増えるものです。こんな白髪交じりの髪を子供につけさせるのも忍びない。
そこで、ピンセットで1本1本丁寧に取り除き、黒髪のみのつややかな髪の束を作りました。これで良いはず。

発送、待機
ついに、ようやく準備が整ったので、これをヘアードネーションに発送。
梱包しすぎないように、適度に梱包して送ります。

そこからしばし、音沙汰が無くなりました。
届いたかな?届かなかったかな?髪が傷んでいて使えなかったかな?
まぁでもやりきったかし、良いか・・・と達観して月日が流れ、9月12日。

認定証が届きました!


良かった。
無事に届き、今頃は僕の髪が誰かの頭をおしゃれに飾ってるんだ。
そんな達成感でいっぱいです。


会社でヘアードネーションしてみては?
そんなわけで40歳おっさんがヘアードネーションを達成したのですが、髪を伸ばすだけなので、会社の取り組みでやると良いと思うんですよね。
認定証を持ってきたら手当を出すとか。
営業担当も、髪を伸ばしていると「ちゃらちゃらしてる」と思われがちですが、名刺に「ヘアードネーション挑戦中!」と書けば、話のきっかけになるし、「良いやつじゃん!」と印象が変わること間違いなし。ギャップ萌えです。

社長さんが薄めの会社だとなお良いですね。
取引先「営業さんヘアドネーションするんですか?あ、社長に寄付するんですか?」
社長「おれのかつら作るわけじゃねーし!」
みたいな。打ち解けること間違いない。