2012年10月2日火曜日

勉強大好き芸人と偉大な企業

先日、アメトーークで勉強大好き芸人という企画を放送していて、その中で宇治原史規さんがこういうことをおっしゃっていました。

「問題集を解くときには、必ずいつまでに終わらせるかを決める。例えば2か月先と決めたら、300ページある問題集なら1日5ページを毎日続ければ、勝手に終わる。1日5ページやると決めたら、必ず5ページを守る。調子が良いからと言って10ページやってしまうと、調子悪い時には2ページでいいか、と妥協してしまい、結局300ページを終わらせることが出来ない。」

そういえば9月に発売された”ビジョナリー・カンパニー4”で全く同じ事が述べられていました。

20マイル行進というストーリーで説明されていましたが、つまり、目的地まで歩くと言ったときに目標を決めていないと、天気が良い日には1日に40マイルも50マイルも歩き、天候が荒れた時には”天気が回復するまで待とう”と宿に籠ってしまい先に進まなくなってしまう。結局1日に常に20マイル歩き続ける人が先に目的地に着けるという話です。

ビジョナリー・カンパニー4で紹介されている偉大な企業”10x企業”とは、業界の平均値を最低でも10倍上回る成長を遂げた企業ですが、これらの企業は例外なく、景気が悪い時でも必ず最低限の基準以上の業績を上げ、景気が良い時も安易に時流に乗らずに自制し、業績を基準の上限以下に抑えていたそうです。


ニュースでよく、ある企業の驚異的な成長を華々しく報道するのを目にします。しかしながら、そういった企業がまるで花火が弾けるように、消えてしまう例は枚挙に暇がありません。

急激な成長を果たすと、社内の意識が例えば奢りに変わってしまったり、成長に合わせた社内の体制が整わないといった弊害が起きます。また、急激な成長が、その時に時流に上手く乗っただけのものだと、状況が変わった時に順応できなかったり、それまでの大きな成長が止まった時に焦りから不必要な手を打ってしまったり、もしくは関係のない事業に手を広げて失敗を引き起こすなどして、事業そのものにダメージを与えてしまう事があります。

追い風を感じるとき、いけそうなときに、敢えて業績を抑制するのは、並大抵の自制心ではありません。即断、即決、スピード経営が叫ばれる中、実は、確固たる理念と目標を持って、成長スピードをコントロールできる企業が、成功するということですね。






ちなみに僕はローマ好きなので、無理矢理ローマ史を絡めて見ます。
古代ローマは、急激な領土拡大路線を突き進んだ結果、”内臓疾患”と揶揄される、ローマ内部の問題に苦しんだそうです。調子が良いからと言って、40マイルも50マイルも進めてしまったんですね。その結果、征服した広大な農地を一部の元老院議員が独占し、逆に兵士として最前線で戦ったローマ市民は、長い間土地から離れていたために農地が荒廃し借金に苦しんでいく。こうして貧富の差があまりに拡大し、貴族と市民の間でトラブルが絶えなくなりました。急激に体が成長したのですが、内臓の成長が追いつかなかったのです。
この問題を解決するためにはアウグストゥス帝によるローマ帝国への政体移行を待たなければなりませんでした。そこに行きつくまでに、多くの時間と、命が失われたのです。

2000年前も今も、同じですね。